【本当の自分を把握する】
藤樹先生、蕃山先生を追想致しまして、
なによりも先ず気のつくことは、
先生達がいかに真剣に
学ばれたかということであります。
(中略)
先生方の性命を打込んで
された学問というものは、
決して外物を追う、
単に知識を得る、
或は資格を得る条件にする、
というような功利的目的のためではない。
その最も大切な意義は、
自分が自分に反【かえ】る、
本当の自分を把握するということであった。
自分というものをはっきりつかんで、
自分の本質を十分に発揮する
ということであったわけであります。