安岡正篤一日一言 令和元年10月06日(日曜日)

【優遊自適】

 最初に漢民族が困ったのは、
 黄河の氾濫【はんらん】である。

 つまり黄河の水処理に非常に苦しんだ。

 だから漢民族の始まりは、
 ほとんど黄河の治水の記録と言うていい。

 それで、いろいろ水と戦ったのだが、
 何しろあの何千キロという河ですから、

 紆余【うよ】曲折して、ある所に治水工事をやると、
 水はとんでもない所へ転じて、
 思わざる所に大変な災害を引き起こす。

 苦情が絶えない。

 そこで長い間、治水に苦しんで到達した結論は、
 結局「水に抵抗しない」ということであった。

 水に抵抗するとその反動がどこへ行くやらわからん。
 水を無抵抗にする。

 すなわち水を自由に遊ばせる。

 これが結論で、そこで水をゆっくりと、
 無抵抗の状態で自ずからに行かしめ、
 これを「自適【じてき】」と言うた。

 適という字は行くという字。

 思うままに、つまり無抵抗に
 行く姿を自適という。
 抵抗がないから自然に落ち着いて、
 ゆったりと自ずからにして行く。

 これが「優遊自適【ゆうゆうじてき】」であります。