【人事の根本】
東洋には人間を二つに分けて、
仕事のできる才能の有る者と、
人を率いて行く徳の有る者とを別にしている。
どんなに仕事ができても、手柄があっても、
それ故に地位を与え、
禄を与えて人を支配させてはいけない人がある。
又これといって仕事ができないでも、
その地位にその人を据えておれば、
自然に治まる人がある。
これを使い分けることが東洋政治哲学の人事行政の根本問題である。
これが「賞禄有功」である。
これは南洲遺訓にも喧【やか】ましくいっているところであり、
熊沢蕃山が強調して徳川幕府からにらまれた点でもある。