【当代の人物】
ところが今日の大官名士を見ると、
その私家の際はまずよろしい。
酒も飲まぬ。
喧嘩もしない。
もちろん漁色も目立ってはやらない。
ダンスホールを閉鎖しろとか、
待合を止めろとか喧しく言う。
大官連中も小さくなっている。
行儀が良い。
しかし国家の大事に臨むと、
生きているのか死んだのかさっぱり分らぬ。
ひたすら己を守るに汲々としている。
ここが明治の人物と当代の人物と非常に違うところである。
願わくば私家の際も人生国家の大事に当っても
立派であって欲しいが、どうもそうはいかぬ。
この辺に真の教育の悩みがあります。