【大臣と小臣】
明治時代は、大臣に限らず、
重職に当った人を見ると、義理にも、
この大任に堪えよくその責を果せるかどうか、
甚だどうも覚束ない次第であるというくらいの挨拶はしている。
義理にもそのくらいのことは言っている。
ところが昨今の大臣連中など見ておりますと、
吉田内閣だけでも百人以上の大臣が出来たが、
ああなると大臣でなく、小臣か足軽か知らんが、
それにしても少しは謙遜なり反省なりの態度があってもよさそうだが、
如何にも嬉しそうで、得意満面で、
聞くに足る挨拶をした人がない。