【安重深沈 ③】
それに続けて、「其他(そのた)浮薄(ふはく)にして
好(この)みて任(にん)じ、
能(のう)を翹(つまだ)てて自ら喜ぶは、
皆、行(おこない)、逮(およ)ばざる者なり」とあるのですが、
自らを好しとして、自分の才能をひけらかし、
自己満足をしているような人物は、行いの及ばない者である。
そういうことではいい仕事はできないし、
ものにならないというのです。
「即(も)し諸(これ)を行事に見(あら)わせば、
施為(せい)、術無(すべな)く、反(かえ)って事をやぶる。
此等(これら)は只(た)だ談論(だんろん)の
科(とが)に居(お)る可(べ)きのみ」(呻吟語・品藻)
そういう人に仕事をやらせてみると施為、
つまりやることなすことに術を知らず、かえって失敗する。
これらは談論の科、ただ口先だけで実行を伴わないものだというのです。