【道の親】
師友は我々にとって第二次の父母兄弟である。
骨肉の親に対して言えば道の親である。
そは我々の疲れ病む心意に
尽きせぬ力と光とを与え、
疑いと悩みとの他ない人生に、
意味と悦楽とを恵む者である。
よい師友を得る時、
我々はちょうど塵埃(じんあい)と
喧騒(けんそう)と濁気との都会を去って
深山幽谷(しんざんゆうこく)に入るように、
覚えず清新な気を深く呼吸し、
身心はふたたび健やかに蘇(よみがえ)る。
そして、おのずからなる英霊の雰囲気が
我々を卓厲風発(たくれいふうはつ)せしめ、
ともすれば絶望しようとした人生に、
また霊活な気分で面接させ、
萎(な)えんとした双脚(そうきゃく)に
堂々と四股踏(しこふ)み鳴らさせるのである。