【四 患】
うき世の人の そらごとを あつめて
埋(う)めてみるならば 浅くなりなん 天の川
河東節(かとうぶし)の文句である。
国家の重患(じゅうかん)の第一は
偽が行われることだ。
後漢末の碩学荀悦(じゅんえつ)の指摘する所。
偽の なき世なりせば いかばかり
人の言の葉 嬉しからまし
(「古今集」読人しらず)
この頃の世の中も最も悪いことは
万事偽で固めることではないか。
その次に私曲(しきょく)と
放埒(ほうらつ)と奢侈(しゃし)。
荀悦はこれを国の重患としている。(申鑒)