【善 学】
凡(おおよ)そ学は能(よ)く益すに非ざるなり。
天性を達するなり。
能く天の生ずる所を全(まった)くして
之を貶(へん)することなき、
是(これ)を善く学ぶと謂う
これが、東洋本来の学というものに対する
基本的な、本質的な考え方です。
この場合の益は、ただのえきするという意味ではなくて、
付け加える、増すという意味であります。
学というものは、何か付け加えるというような
方便的、手段的なものでは決してない。
そもそも元来持っておる、
生まれつき具(そな)えておるものを発達させるためのものである。
天の生ずるところ、親の生んでくれたところを全くして、
それをおとさない、いい加減なことにしない、
というのが善学、善く学ぶと言うのである。