【現代の欠陥】
学問というものは確かに
大変な進歩を遂げてきた。
しかし大事なことはなにが本質で
なにが枝葉末節かの価値の弁別、
目のつけどころで、
これがしっかりできるようになると、
今日の文明の混乱は救われる。
それを本当に悟って、
教えてやるのが師であります。
師の前には父というものがある。
人間の教育はまず父から
始まって、師と友に至る。
ところが現近代、特に現代に及んで、
父らしい父というものがなくなってきた。
それとともに、師と友というのも
またなくなっている。
そこに、現代人間の最も
恐るべき欠陥というか、
危険がある。