【信 友】
誠の友には、
限り無い信頼の歓喜、
いつでも理解してもらえる
という確信があるから、
何でも言える楽しみ、
雄々しく又赤裸々な
生活の陶酔がある。
多数の俗人から認められず、
少数の友人から
認められることは楽しい。
偉大な魂の主はその敵を
軽蔑するものではなく、
実は忘れるものなのである。
寛容は超脱の最も
鄭寧な形式である。
感情を害し易い性格の
人々には春がない。
真の友交は精神の宮殿に於ける
心と心との楽しい饗宴である。
こういう信友同志の集まりは、
如何にささやかに
見えるものであっても、
そこに集まった人々を
凡俗とは異った
別の人間にし始めるものである。
――アベル・ボナールAbel Bonnard・友情論より。