【学道箴規】
一 賢を尊び道を慕い
恥を知る者入るべし。
自負して信ならず慚愧する所
無きは容【ゆる】さず。
二 天下の為に心を立て、
生民の為に命を立て、
万世の為に太平を
開かんとする者入るべし。
徒に慷慨激越なるは容さず。
三 不遇をかこつべからず、
一生安穏に道を楽しむを
得ば足れりとすべし。
凡そ大丈夫ならん者地下百尺に
埋もる覚悟あらずんば
大事を成すに足らざるなり。
四 道友は乳水の如く和合し互に
明徳を明らかにすべし。
骨肉の敬愛すら
異族に比すべからず。
況んや学道の兄弟に於てをや。
五 礼を重んずべし。
狎侮【こうぶ】の交あるべからず。
六 人を責むべからず。
毎【つね】に自ら省るべし。
たとえ人を責むとも
人を憎むべからず。
七 古より聖賢寸陰を惜み、
高僧万縁を棄てし心を学ぶべし。
半世を酔夢の中に過さば
後悔臍【ほぞ】を噛むとも及ばじ。
尤も暮夜長く雑鬧【ざっとう】
の巷を彷徨するが
如きことあるべからず。
たとい出づることありとも、
速に帰りて青灯の下古教照心すべし。
晴昼閑あらば花木の栽培に力め、
抱甕灌蔬【ほうおうかんそ】すべし。
八 行往坐臥須く安詳なるべし。
粗暴は 学道の
純熟せざるを以てなり。
恥ずべく、 悲しむべし。