安岡正篤一日一言 2018年09月13日(木曜日)

【馬鹿殿様】  「馬鹿殿様」というのは、  実は非常な褒め言葉なんであります。  大勢の家来の中には下らない奴もおるだろうし、  悪い奴もおる。  しかも自分の上には目を光らせている  意地の悪い幕府当局がある。  その中で悠々と藩を維持していくというのは、  なまじ小利巧な殿様ではとてもできたものじゃない。  よほど馬鹿にならんと治めていくことはできない。  『論語』にも、「その知及ぶべし、その愚及ぶべからざるなり」  (「公冶長【こうやちょう】篇」)という名言がある。  馬鹿殿様というのは、  その「愚及ぶべからざるなり」という意味で、  わかったようなわからんような、  悠々として、すべてを包容して、  事なく治めていくなんて、小利巧な人間、  小才の人間ではとてもできる芸当ではない。  「馬鹿殿様」というのは、  その意味でもおもしろい、  活きた言葉であります。