【人格価値を悟る】
意外に多く教養ある婦人が、
人間の価値を知識や地位や財産や手腕に求めて居る。
漱石の云った様に
「頭と腕を挙げて実世間に打込んで、
肉眼で指す事の出来る権力か財力を掴【つか】まなくては
男子で無いと考えている」教養ある婦人が実際多い。
そして巧みな会話や流行の服装が
「覚めたる婦人」に対する勢力も亦【また】著しい。
神秘家の言葉をかりると、
そういう婦人はコジテーションCogitation(仮見【かけん】)に止まって、
メディテーションmeditation(内観)、
コンテムプレーションcontemplation(中観【ちゅうかん】)も無い。
ゆえに到底真の人格価値を悟ることが出来ないのである。
真の人格価値はやはり至純【しじゅん】なる内省に待たねばならぬ。
純真な女性であって、始めて大丈夫【ますらお】を恋するであろう。