【胆 力】
吾々はいくら智慧があっても、
学問があっても、
個人と個人との日常生活の細やかな問題の
決定一つつかぬことが多い。
偉い学者といわれる人がつまらぬ一瑣事に捉われるということは、
つまり知識と見識が違うからで、
従って見識というものは一つの決断力であり、
これは人生においては直ちに行為となって現れなければならぬ、
決断は同時に行でなければならぬ。
従って見識は実践的でなければならぬ。
ところが見識が実践に入るには又ここに一つの勇気が要る。
この実践的勇気を称して、
古来最も民衆的な言葉でいうと、
「胆力」と申します。