【亡国の姿】
私の時々思い出す古人の警語の一に、
王者は日に敬【つつ】しみ、
覇者は時に敬しみ、
僅かに存するのみなる国は危くして而る後之を戚【うれ】え、
亡国は亡に至って而る後亡を知り、
死に至って而る後死を知る。(荀子・彊国)
ということがある。
痛切・骨に響くものがあるではないか。
王者は一日一日を大切にする。
日日是れ好日たり得るは、
日々是れ敬日に力めるからである。
覇者になると、王者と違って力の政治であるから、
時々油断がならない。時に敬しむ所以である。
どうやらこうやら存在しているにすぎない様な
自主自立性の乏しい間抜けた国は、
危くなってから、やっと心配し始める。
だめな国はどうにもならなくなって、やっとそれがわかる。
死ぬところまで落ちこんで、やっと死ぬのかと狼狽するのである。