松下幸之助翁のお話 8月10日 欲望は生命力の発現

“欲の深い人”というと、ふつうはよくない人の代名詞として使われているようだ。いわゆる欲に目がくらんで人を殺したり金を盗んだりする事件があまりにも多いためであろう。

しかし、人間の欲望というものは、決して悪の根源ではなく、人間の生命力の現われであると思う。たとえて言えば船を動かす蒸気力のようなものであろう。だからこれを悪としてその絶滅をはかろうとすると、船を止めてしまうのと同じく、人間の生命をも断ってしまわねばならぬことになる。つまり欲望それ自体は善でも悪でもなく、生そのものであり、力だといってよい。だからその欲望をいかに善に用いるかということこそ大事だと思う。