松下幸之助翁のお話 7月24日 利害を超える

ある日、私のところに「自分の会社で造る製品の販売を引き受けてもらえないか」という話を持ってこられた人がいた。私はいろいろとその人の話を聞いてみて、この人はえらい人だなと思った。普通であれば、自分にできるだけ有利になるよう交渉する。それがいわば当たり前である。ところが、その人は「すべてをまかせる」という、自分の利害を超越した態度をとられた。私はその態度に感激し心を打たれた。

われわれはともすれば自分の利害を中心に物を考える。これは当然の姿かもしれない。しかし、それだけにそれを超越したような姿に対しては、心を動かされる。これもまた人間としての一つの姿ではないか。