【受け取り手のない贈り物は・・・?】
言葉は消しゴムでは消せない
福の神が老人に姿を変え、街の商人の心を調べに行った。
忙しそうにしている店があったので入った。
「いらっしゃいませ!」と大きな声で迎えてくれた。
「ハイ!この商品はどうですか」
「これは安いよ!」
「それじゃ、これは!」
あまりにも一方的に売り込んできたので、モタモタしていたら、
「お客さん、買う気がないなら、商売の邪魔になるから、よその店へ行ってくれないか」と言われた。
老人が、店主に言った。
「ワシの着ている服を、あんたにプレゼントするよ」
店主は、
「そんな汚いものはいらないよ、失礼な年寄りだ」
と言って受け取らなかった。
「それじゃ、この受け取り手のない贈り物はだれのもの」
「そんなの、あんたのものに決まっているじゃないか」
「そりゃ、そうだろうな、受け取り手のない贈り物は、送り主のもんじゃのォ」
そして老人は言った、
「すまないが、先ほどワシにプレゼントしてくれた、きたない言葉、あんたに返すよ」