安岡正篤一日一言 2018年05月10日(木曜日)

【政治の使命】

 国家の最も明確な相違は、
 人材(現代用語で言えばエリート the elite)
 の差に外(ほか)ならない。
 人材は徳を体とし、才を用とする。
 才徳双全(そうぜん)は聖人、
 才徳兼亡(けんぼう)は愚人、
 徳・才より勝るゝは君子、才・徳より勝るゝを
 小人(しょうじん)と謂(い)う。
 如何(いか)にして聖人・君子
 即ち人材を養うかが教学であり、
 その人材を知り、之を用い、
 之に任すのが政治である。
 治者に人材無く、
 治者が時代人心の要望に応ずる能力を失い、
 職責を怠(おこた)り、享楽に耽溺(たんでき)し、
 賢者を妬忌(とき)し、
 私党を結んで相争うようになれば、
 必ず国家は衰亡を招く。
 凡(およ)そ生は天地の大徳であり、
 人は其の最も霊なる者であるが、
 衆人は教養を待たねば
 その霊なる所以(ゆえん)を覚らずして堕落する。
 衆人を導いて
 道徳文明に高めてゆくのが政治の使命である。