安岡正篤一日一言 2018年04月17日(火曜日)

【陸賈の諫言】

 私の愛読書の一に
 『陸賈(りくか)新語』がある。
 陸賈という人物がそもそも快男児である。
 野人的英雄・漢の高祖(こうそ)が
 天下平定の大業に成功して大得意の時、
 彼は進んで書を講じようとした。
 高祖は馬鹿にして、
 乃公(おれ)は馬上・天下を得た。
 本など知ったことか!
 すごすご引退るかと思いの外、
 彼は毅然(きぜん)として反論した。
 馬上・天下を得るも、
 馬上・天下を治めることはできません。
 湯王・武王は逆取して順守したものです。
 文武両用することが長久の術です。
 もし秦が先聖に法(のっと)り、
 仁義の政を行ったならば、
 どうして天下が陛下のものになったでしょうか!
 これには流石の高祖もぎゃふんと参った。
 それでは試みにどうして秦が天下を失い、
 俺が天下を得たかの理由を
 明らかにしてくれと望まれて、
 彼の著したものが
 『陸賈新語』十二篇であるといわれる。