安岡正篤一日一言 2017年11月22日(水曜日)

【英雄と君子】
 大塩中斎【おおしおちゅうさい】
 (通称・平八郎、 中斎は号。
 一七九三~一八三七)が
 『洗心洞箚記【さっき】』の中で
 こういうことを言っております。

 「昔から英雄というものは、
 しばしば非常のことを成す。

 この時はさすがに英雄だが、
 しかし成功してみると、
 また凡俗に還ってしまう。

 せっかくの英雄の英雄たる
 所以【ゆえん】を失ってしまう。

 つまり事をなすまでは
 禍福生死【かふくせいし】
 というものを超越した
 非常に偉いところを発揮するが、

 成功すると凡俗と同じように
 また禍福生死に惑うようになる。

 いかなる場合にも、
 禍【わざわい】とか幸いとか、
 生きるとか死ぬとかいう
 禍福生死に惑わぬというのは、
 学問精熟の君子によって
 初めてよくするところである」
 と、こういうことを論じている。

 これは非常な見識であります。