【主 婦 ②】
婦人にとっては、
あり余る金を持った家を除いては、
安息所というものが無い。
職場から解放された連休も、
掃除や、洗濯や、修理や、
子供の世話に使われる。
彼女の肩にはいつも仕事がかかっている。
その上相当の身だしなみとか、
心の修養とかの努力を加えねばならない。
実に一刻の暇もない。
然しその報いもあらたかである。
僅かの金と、多くの勇気があれば、
立派な婦人は数日の中に、
あばら家を一変して最も住み心地の
好い場所にすることができる。
そこで働くことと愛することとが渾融している。
――A・モーロア「知と愛の生活」より。