安岡正篤一日一言 2017年10月29日(日曜日)

【四 惜】
 昼坐・当に陰を惜むべし。
 夜坐・当に燈を惜しむべし。
 言に遇わば当に口を惜むべし。
 時に遇わば当に心を惜むべし。
             (清)陸世儀

 ※註陰は光陰、時間の意味。
  陸氏=字は桴亭と号す。清初の篤学。
  實用を重んじ思辯録等の名著がある。

 人間というものは、
 つまらぬ物には
 吝【けち】なくせに、
 こういう大切なものについては
 案外濫費【らんぴ】して省みない。
 玉くしげ明けぬ暮れぬといたづらに
 二度も来ぬ世を過すかな
 (木下長嘯子)である。

 貴重な夜の時間をむだ使いするなど
 燈に対して申訳ないというものだ。
 もの言えば唇寒し秋の風。
 人間言うからには価値のある発言をしたいもの、
 でないと口に済まぬ。
 時世は、我が哲学して心を深める好資料だ。