安岡正篤一日一言 2017年06月11日(日曜日)

【学人の悪智】

 学をする人はかならず悪慧を生ず。
 その故(ゆえ)如何となれば、
 人を超えんと欲して才ある人を壓す。
 しかも又(また)不才のものを笑う。
 眼を高くして人を直下に見る。
 無学の人は諍(あらそ)う所なし。
 これ学力無き故、我が本然の心を存するなり。
 学をする人は曲節多く、学無き人は直心なり。
 学をする人は人を疑い、学無き人は人を信ず。
 信はそれ万行の始終なり。
 只(ただ)学をなして悪慧を求めんよりは、
 寧(むし)ろ無学にして自己を存せよ。
 往昔(おうせき)は学びて道を明らめ、
 身を直くし、心を清くす。
 今は学びて悪智を長ず。これ時なり。
 (沢庵『玲瓏随筆』)